クリスマスイルミネーションの意味はルターにあった

クリスマスイルミネーションの意味はルターにあった【LAST DAY】


いきなり最終話から読んでも大丈夫な内容となっております。

ジェイコブコーヒー物語 最終話 クリスマスイブ

12月24日(日)

毎週日曜はジェイコブコーヒーが休みなので、朝起きたら先ず、コーヒーをいれることにしている。

使うのはボダム社のフレンチプレスコーヒーメーカーだ。私のような素人でも簡単に美味しいコーヒーを楽しめる。

フレンチプレスの使い方はシンプルだ。挽きたてのコーヒー豆を投入して、その上からフレッシュな水(93度に沸かしたもの)を注ぐ。フタをのせて、4分間じっくり抽出する。4分たったから、プランジャーをゆっくり押し下げる。温めたお気に入りのカップに注いで、「美味しいコーヒー」の出来上がりだ。

 

私はコーヒーが完成するのを待ちながら、昨日のことを思い返していた。

ラケルのクワルクシュトレンは想像を超えて絶品だった。パン生地、ドライフルーツの甘さとチーズの塩気が絶妙にマッチして本当に美味しかった。以前仕事でシカゴに行ったことがある。その時にオヘア空港にあるショップでギャレットポップコーンを食べた。キャラメルポップコーンの甘さとチーズポップコーンの塩気のバランスが最高で一気に食べ尽くした。クワルクシュトレンもその感覚に近いのかもしれない。

昨日はその美味しすぎるシュトレンをちびりちびり食べながら、2時間弱、ジェイコブファミリーと語り合った。聖書の話で持ちきりだった。ダビデがゴリアテと戦う直前、ダビデは父親に頼まれて色々な品物を持って出かけた。(1サムエル記17章17節〜)

『その時にダビデが持っていた「チーズ10個」は何チーズだったのだろうか。モッツァレアだろうか。』

『大量の荷物を持たされたダビデの気持ちはどうだったのか。』とか…

ジェイコブファミリーは聖書の話をする時、本当に嬉しそうにしていた。

大学の冬休みのため半年ぶりにジェイコブコーヒーに現れたサラの話も聞くことができた。サラは卒業してすぐに南アフリカに宣教師として旅立つ予定だという。サラが行こうとしている地域は銃弾やミサイルが飛び交う世界でもトップレベルに危険な地域だ。私はクレイジーすぎると思って、「なぜ命を危険にさらしてまでも行くのか」と尋ねると、サラは答えた。「私をクレイジーに愛しておられる神様が、『行きなさい』とおっしゃってるの。」私がさらに聞くとサラは私をまっすぐ見て言った。

「私は、死ななければならないのでしたら、死にます。」

「私は、死ななければならないのでしたら、死にます。」サラがこの言葉を発した時、サラの目は本気だった。なぜかのか…サラをそこまでさせる神様とは一体何者なのだろうか…

「私は、死ななければならないのでしたら、死にます。」

そんなことを思い返していたら、あっという間にコーヒーが完成した。私はコーヒーをデスクに持っていきMacBookに手を伸ばした。すると、半年前に壁に貼り付けた紙の言葉が、いつになく私の心をとらえた。

YOU CAN PRAY.
神様。あなたが本当にいるのなら、私にわかるように助けてください。

本当にいるのなら…

サラをクレイジーにさせる、神様が本当にいるのなら…

2000年以上もの間、人々を熱狂させ続けている神様が本当にいるのなら…

私は知りたい。

私はコーヒーを脇に置き、手を組んで、目をつぶった。

静まり返った部屋… 暖房器具から出る風の音しか聞こえない。

組んだ手に力が入る。私は人生で初めて、厳粛な気持ちで祈りはじめた。

「神..さま…神様…、あなたが本当にいるのなら、私にハッキリわかるように..助けてください…。新約聖書の福音書は何度か読みました…頭ではわかります…でも、本当にいるのですか。知りたいです。」

目を開くと、光り輝く天使が舞い降りて来て…というようなことはなく、何も起こらなかった。いつも通り、暖房器具から出る風の音しか聞こえない。

私はiTunesを開いてお気に入りの音楽を再生し、スケジュールを確認した。

今夜はデイビットとジェイコブファミリーとSISOMAKIスタジアムで落ち合う予定だ。それまでの時間はポップコーンを食べながら映画でも見て、家の中でくつろごう…

2000年以上もの間、人々を熱狂させ続けている神様が本当にいるのなら… 私は知りたい。

私がSISOMAKIスタジアムに到着したのは、イベント開始の20分前だった。チケットに記されている席に行くと、既にデイビットとジェイコブファミリーは来ていた。

「カズキ!!!」デイビットは私を見るなり叫び、握手の手を差した。彼は続けて言った、「いつになったら来るのかとソワソワしてたよ!」

「私としては余裕を持って来たつもりでしたが…デイビットは何時ごろ来たのですか?」

「3時間前から来てたよ!何があるかわからないからね!」

私もジェイコブファミリーも、デイビットの純粋な様に嬉しくなって笑った。

「SISOMAKIスタジアム、今日初めて来ましたが、スタジアム全体がイルミネーションで覆われていて驚きました。この規模のスタジアムに電飾を覆わせたら相当のコストがかかるはずです。」私はここに来る途中の電車内からも見えていた、光り輝くスタジアムに注目せずにはいられなかった。

サラが目を輝かせて答えた、「そうなの!実は、この規模のイルミネーションは世界一なのよ!SISOMAKIスタジアムの所有者がクリスチャンだから、クリスマスシーズンには力が入るのも当然ね。まあ、環境のことを考えているのかどうかは意見が分かれる所だけど、その動機は素晴らしいに違いないわ!」

ジェイコブはサラの発言に深く頷き、言った、「SISOMAKIスタジアムの所有者が経営している会社のロゴは赤い羊で、イエスキリストを象徴している。イルミネーションもマーケティングだけが目的なのではなくて、そこには組織の価値観が現れている。」一呼吸置いて、ジェイコブは続けた、「クリスマスツリーに、夜空の星を模して、火のついた小さなロウソクを飾ることを考案したのは宗教改革で有名なルターだった。つまり、クリスマスの時期になるとチカチカ光っている電飾のルーツは、ルターにあるんだ。ルターが聖書を土台とした価値観を持っていたことは言うまでもない。」

スタジアム中央にあるステージに動きがあったことにラケルが気がつき、彼女は言った。

「いよいよ始まるわよ!」

ラケルの言葉とほぼ同時にスタジアムが暗くなり、ステージだけがライトアップされた。ステージにはバンドチームが並んでいて、ノリの良い賛美歌がスタートした。スタジアムにいる全員が立ち上がって一緒に歌った。普通のライブコンサートとは何か違う。続けて何曲もの賛美歌を歌い、クリスマス抽選会を経て、(GoProは当たらなかった)このイベントのかなめである聖書メッセージの時間となった。聖書メッセージを語るのはジェイコブファミリーが毎週通っている教会の主任牧師であるジョン牧師だ。

ステージ中央にジョン牧師がゆっくりと姿を現した。

彼は周りを見渡して微笑むと、「祈ります。」と宣言し、ステージ中央でひざまずいて祈り始めた。

「父なる神様。すべての主よ。あなたがとこしえからとこしえまで、ほめたたえられますように。主よ。偉大さ、力、輝き、栄光、威厳は、あなたのものです。天にあるものも地にあるものもすべて。主よ、すべてあなたのものです。あなたはすべてのものの上に、かしらとしてあがめられるべきお方です。あなたはすべてのものを支配しておられます。私たちの神よ。今、私たちはあなたに感謝し、あなたの栄に満ちた御名をほめたたえます。主よ、このようにしてあなたに祈る私は一体何者なのでしょう。あぁ、主よ…ただ一度イエス様が私の罪の身代わりとなってくださいました。そのことのゆえに、あなたに祈れる『恵み』をただ、感謝します。今、あなたを感謝します。今、私たちの心をしっかりとあなたに向けさせてください。あわれみ深い主が必ず助けて下ることを感謝します。イエス様の名よって、祈ります。アーメン。」

祈りが終わると、そこには、確固としたたたずまいを見せるジョン牧師の姿があった。彼の声は力強く、躊躇も不安も曖昧さもない。シンプルでストレートなメッセージが、スタジアム中に朗々と響き渡る。

この世界に渦巻く混沌と暴力を嘆き、人間の苦悩、痛み、混乱について熱く語るジョン牧師。罪、赦し、贖罪、そして多くの人の心を悩ませる孤独、絶望、憂鬱についてとうとうと語るジョン牧師。

そしてメッセージの大団円が近づくと、ジョン牧師は確信を持って言った。

「人はみな、誰かに愛されたいと思っています。自分を愛している人を探しています。ここで、私はみなさんにお伝えしたい。神はあなたを愛しておられます。あなたのことを心から愛しておられるのです。そしてその愛ゆえに、私たち人間の罪ゆえにご自分のひとり子を十字架につけられました。

あなたがどんな人であろうと、何をしていようと、神はあなたを心から愛しておられる。そして、あなたの心の中に住み、あなたの人生を変え、あなたを新しい人に変えてくださいます。神の聖霊があなたの心に語りかける時が来ます。聖霊はあなたの罪を示し、そして心を開いて神との関係を築くよう求めます。その時、あなたは何と答えますか。『私は救い主を知っている』と自信を持って言えますか。今夜、この場に集まったみなさんの中で、一体何人の方が救い主イエスへの確信をお持ちでしょうか。みなさんは、イエスが救い主かどうか、その真実をはっきりと知りたいはずです。『これから家に帰る途中、万が一死んだとしても大丈夫、私には神に会う準備ができている』と言い切れる確信をお持ちになりたいはずです。その確信を持ちたいと思う方は、さあ今、ステージ前に降りて来てください。」

ポツリ、ポツリと、人影が動き始める。カップルもいれば家族連れもいる。ステージ前に続々と集まる人の数は瞬く間に膨れ上がり、今や満員電車さながらの混雑だ。

信仰とは何だろう、と人は悩む。しかしクリスマスイブの夜、SISOMAKIスタジアムのステージ前に進み出た人々に、信仰の定義は必要なかった。彼らは信仰を自分の肌で感じとり、実際に神にすがりつくことができるような思いで、神に向かい手を伸ばしたのである。信仰は彼らを押さえつけていた罪悪感を吹き飛ばし、不安を希望へと変えた。信仰は彼らの人生に新たな方向性と目的を与え、その心を奮い立たせた。信仰は天国へのドアを開いた。信仰は渇いた魂を潤す清水であった。

信仰とは何だろう、と人は悩む。しかしクリスマスイブの夜、SISOMAKIスタジアムのステージ前に進み出た人々に、信仰の定義は必要なかった。彼らは信仰を自分の肌で感じとり、実際に神にすがりつくことができるような思いで、神に向かい手を伸ばしたのである。信仰は彼らを押さえつけていた罪悪感を吹き飛ばし、不安を希望へと変えた。信仰は彼らの人生に新たな方向性と目的を与え、その心を奮い立たせた。信仰は天国へのドアを開いた。信仰は渇いた魂を潤す清水であった。
「いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。」聖書

今から2000年程前、この世界よりも大きなお方が人間と同じようになられた。

自らを低くして、自分から十字架に向かい、死んでよみがえり、今も生きておられる。

やがて雲に乗って再びこの世界に来られる。

この信じられない愛を私は信じます。

感謝、ハレルヤ、メリークリスマス。


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伊藤 走

伊藤走(イトウソウ) 自称ハッピーな神学生